「昼食補助」とは、従業員の昼食代を企業が負担する福利厚生のこと。
「飲食代の負担が減らせる」「栄養バランスの取れた食事が摂れる」「時間が有効的に使える」などのさまざまなメリットがあり、従業員に人気です。
また、「従業員の健康維持」「雇用促進」「離職率の低下」、さらに「節税対策」など、企業側にとっても実に多くのメリットがあり、多くの企業がさまざまな方法で福利厚生に取り入れています。

そこでこの記事では、「昼食補助」について、福利厚生に人気の理由や取り入れる方法などを、詳しく解説していきます。

福利厚生に人気の昼食補助(ランチ補助)

「福利厚生」とは、企業が従業員やその家族に提供する、健康や生活、福祉の向上を目的に行う取り組みのこと。

従業員が会社を選ぶ際には、企業の福利厚生は重要なポイントでもあります。

さまざまな取り組みがある福利厚生の中でも、人気が高いのが「昼食補助」です。

まずは、昼食補助が人気の理由や、昼食補助を福利厚生として計上できる範囲について、詳しくご説明します。

 

昼食補助が人気の理由

昼食補助が従業員からの人気が高い理由の一つは、食事代の節約につながる、という点です。

毎日の飲食代というのは、従業員にとっては経済的に大きな負担となります。

外食をする場合には、ランチのお得なメニューであっても1,000円近くかかるでしょう。

しかし、社員食堂であれば、一食500円、またはそれ以下の値段で食事が摂れます。

さらに、社員食堂では、栄養バランスが取れたメニューが用意されているところも魅力の一つ。

社員食堂を利用すれば、意識をしなくても身体に良い食事が食べられるため、健康維持にもつながります。

食事手当との違いは?

昼食補助と食事手当は同じ意味で「労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給される」手当のことをいいます。

食事手当の中には

  • 社員食堂での提供
  • 仕出し弁当の提出
  • 提携している飲食店のチケットサービスの利用
  • 食事代として現物支給

があります。

昼食補助を福利厚生に計上するには

福利厚生として計上ができる「昼食補助」は、節税対策になるところも大きなメリットです。

ただ、すべてが福利厚生の対象とはならないため、計上できる範囲をしっかりと理解しておく必要があります。

福利厚生として認められるためには、次の2つの条件を満たしていなければいけません。

・食事代の50%以上を従業員が負担している
・企業が負担する飲食代の費用が、1人当たり月額3,500円以内

例えば、月の昼食代7,000円のうち、企業が負担している金額が3,000円だとすると、従業員の負担額が4,000円となります。

上記の場合、従業員の負担額が50%以上、さらに、企業の負担額が1人当たり月額3,500円以内です。

2つの条件を満たしていることになり、福利厚生として計上ができます。

その他、残業や宿日直を行う際の夕食や夜食などの食事についても、福利厚生に計上ができます。

昼食をしながら会議を行う場合の昼食代は全額を会議費として計上することができます。

また従業員を接待するために昼食をとったときは接待交際費として計上することができます。

ただ、残業や宿日直の時間帯であることが条件となり、現金での支給はできません。

また、接待や勤務時間後の飲食代は、福利厚生として認められないため計上はできません。

昼食補助を福利厚生に取り入れる方法

昼食補助を福利厚生に取り入れるにはさまざまな方法があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。

企業に合った昼食補助を提供するためにも、従業員のニーズやコストなどを考えた上で、どれがいいのかを選択することが大切です。

ここでは、代表的な5つの方法をご紹介します。

社員食堂の設置

「社員食堂」は、企業の中に食堂を設けて運営をする方法。

自分の好きなメニューが選べて安価で温かい食事が摂れる、企業専用のレストランです。

社員食堂は、社内のさまざまな部署の従業員が集まる場所でもあり、コミュニケーションの活性化が期待できます。

しかし、食堂を設置するスペースや運営するためのコストがかかるため、リスクも検討した上で導入する必要があります。

配達サービス

「配達サービス」は、宅配業者などを利用して、外部からお弁当を配達してもらう方法。

法人向けの配達サービスを行う業者も多く、設備やスペースを確保しなくてもすぐに導入ができます。

ただ、注文を取る手間がかかり、業者によっては配達時間帯が限られるところもあります。

設置型の社食サービス

「設置型の社食サービス」は、お惣菜などの食事を入れた冷蔵庫を設置する方法。

従業員が好きなメニューを自由に選べ、準備する負担もかからず、24時間いつでも利用ができるところも特徴です。

しかし、その場で調理をするわけではないため、軽食がメインのメニューになってしまう可能性があります。

チケット配布型

「チケット配布型」は、提携している飲食店などで利用ができる食事チケットを配布する方法。

チケットを配布するだけなので手間がかからず、従業員皆に平等に提供しやすいところも特徴です。

ただ、提携している飲食店がないエリアや少ないエリアでは、導入しても利用価値がほとんどありません。

 

現金支給

「現金支給」は、食事手当てとして現金で支給をする方法。

従業員から見れば、自分で好きなように使えるところがメリットかもしれません。

しかし、昼食補助以外の用途で使用される可能性もあります。

それに、現金支給は、例外を除いて給与とみなされ、課税の対象となるため注意が必要です。

 

食事補助を支給する流れとは?導入から運用までのステップ

食事補助を福利厚生として導入したいと考えても、「どうやって制度を始めればいいのか」がわからずに止まってしまう企業も少なくありません。

そこでここでは、中小企業でも無理なく導入できる食事補助制度の流れを3つのステップに分けて解説します。社員の満足度向上と健康促進につながる制度づくりの参考にしてください。

STEP1|導入目的と補助内容を明確にする

まずは、なぜ食事補助を導入するのか、どのような形で支給するのかを明確にすることが大切です。

社員の健康支援なのか、採用対策なのか、目的に応じて補助金額や支給方法(現金・クーポン・食堂補助など)を決定しましょう。社内アンケートを活用すれば、社員のニーズに沿った制度設計が可能になります。

・食事補助を導入する目的(例:健康経営、採用強化、離職防止など)を整理
・支給方法を検討(現金支給、クーポン、社員食堂補助など)
・月額上限や1食あたりの補助額を設定
・社員アンケートなどでニーズを把握し、制度設計に反映

STEP2|制度設計と就業規則への明記

支給する金額や対象者、支給の頻度・方法などの詳細を詰めたら、就業規則や社内規定に明記し、全社員にわかりやすく周知することが重要です。

税制上の非課税措置を受けるためには、一定のルール(例えば、1食あたり330円以上の自己負担など)を設ける必要があるため、税理士や社労士と連携して設計しましょう。

・対象者・支給額・支給頻度・支給条件などを明文化
・所得税の非課税条件(例:自己負担330円以上など)に対応
・制度を就業規則や社内規定に記載し、全社員へ周知
・必要に応じて税理士・社労士に相談し、適切に制度化

STEP3|運用開始と定期的な見直し

制度をスタートさせたら、実際の利用状況や社員の声をもとに定期的な見直しを行うことが成功のカギです。

利用率が低い場合は、支給方法や補助金額、対象店舗の見直しなども検討しましょう。柔軟な改善を続けることで、社員にとって魅力的な福利厚生として定着しやすくなります。

・制度開始後は、利用状況や社員の反応を定期的に確認
・利用率が低ければ、補助金額や提供内容の見直しを検討
・アンケートやヒアリングを活用して改善点を抽出
・社員が使いやすく、満足できる制度に育てていく

昼食補助を導入するメリット

「昼食補助」の導入は、企業にとって多くのメリットがあります。

「昼食補助」があれば、従業員にとって大きな負担となる飲食代が減らせるため、経済的な支援ができるでしょう。

さらに、社員食堂が設置されていれば、いつでも栄養バランスが取れた食事が食べられ、従業員の健康維持ができます。

生産性の向上はもちろん、離職率の低下や雇用促進、従業員の満足度向上につながり、企業のイメージアップにもつながるでしょう。

また、昼食補助は、課税されない条件を満たしていれば福利厚生に計上できます。

節税対策になるところも、企業にとっては大きなメリットです。

まとめ

「昼食補助」は、従業員の昼食代を企業が負担する福利厚生のこと。

さまざまな取り組みがある福利厚生の中でも、従業員に最も人気が高いのが「昼食補助」です。

「昼食補助」は、条件を満たしていれば福利厚生に計上できるため、節税対策になる点も大きなポイント。

福利厚生に取り入れる方法の一つである「社員食堂」は、直営の他に外部委託をする運営方法もあり、コストや負担を抑えた「昼食補助」の導入も可能です。

企業に合った運営方式の選択、さらに、福利厚生として計上できる飲食の範囲をしっかりと理解した上で、上手に取り入れることをおすすめします。